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巨人はドラフトでスター選手を指名せよ!

夏の甲子園も閉幕し、U18や大学のリーグ戦へと進むと、野球ファンとして次に気になるのが『ドラフト会議』です。

高校野球ファンとして甲子園を応援していた僕が、巨人(読売ジャイアンツ)の”にわかGM”として、ドラフト戦略を考える季節でもあります。

かつてお茶の間の主役であった時代は、連日巨人の試合中継がTV放映され、そこには巨人の”スター選手”が躍動していました。

『球界の盟主』として君臨していた巨人には、常に勝利が期待されており、その勝利する姿が多くのファンを集めました。

そんな巨人に対抗してきたのが、巨人OBの広岡達朗氏や森祇晶氏を監督として迎えた西武ライオンズであり、その西武のスカウティング力と選手を引き連れてきたダイエーホークスがその後王貞治監督を迎えた現在のソフトバンクホークスです。

そうやって、本来巨人ファンが巨人に求めていたであろう”ジャイアンツ像”が、次第に西武やダイエーへと移っていき、今では巨人ファンだけが球界の盟主だと思っているだけで、12球団の内のひとつととらえているファンや球児も多くいるように思えます。

そのことは、ジャイアンツのドラフトに戦略が感じられないことが原因のような気がしてなりません。

そんな巨人ファンの僕が、ジャイアンツ復興のためのドラフト戦略を考えてみました。

巨人の選手獲得が困難になってきた流れ

選手を囲い込んで獲得してきた時代

ON時代には、現在のようなドラフト制度はありません。

従って球児たちは、金銭面や出場機会などの”条件”を判断基準に、自分の希望する球団に進んでいきました。

今のサッカー界のようなイメージでしょうか。

当時、人気も資金力も豊富だった巨人は、有望選手を多く集めることができ、当然ながら常勝軍団を形成していきます。

その後、契約金の抑制と球団間の均衡を図るために、1965(昭和40)年からドラフト制度が実施され、第1回で巨人は後に大エースとなる堀内恒夫選手を1位指名しています。

ドラフト制度は続きますが、選手が希望球団以外なら大学や社会人に進むと公言するなど選手の囲い込みが行われ、実際に指名されてもその球団に行かない選手も結構いました。

巨人においても、江川卓選手や元木大介選手が有名です。

その後巨人は「自由枠」なるものを球界へ提言し、内海哲也投手などの有望選手を獲得していきますが、それも球団間の戦力格差が広がるとの意見から廃止となり、現在のドラフト制度に戻っています。

FA選手と外国人選手の乱獲

しかしそれでは、巨人だけが特出した選手を獲得できないため、資金力にモノをいわせる戦術として、FA選手と外国人選手を乱獲していきました。

長嶋茂雄監督時代の「欲しい病」に始まって、FA選手と外国人選手を次々と乱獲し出した巨人は、その資金力で再び常勝軍団を築きあげたかのように見えましたが、そこで起こったのが野茂英雄選手のメジャー挑戦でした。

渡米前は、日本球界もファンも野茂投手が活躍できるか否か半信半疑でしたが、あっという間にメジャーリーグの大投手となり、「日本人選手でもメジャーで通用するんだ」という感覚が生まれました。

その後のイチロー選手の活躍はみなさんご存じの通り、日本人選手がメジャーでも通用することが確証となって、選手と球団間の紆余曲折を経て、現在ではポスティング制度や海外FA権を有した日本のプロ野球界の選手がメジャー挑戦できる時代になってきました。

すると、資金力にモノをいわせてFA選手を獲得してきた巨人でしたが、その有望選手が次々と海外へ流失していくために獲得できない状況に陥ります。

そんな現状だからこそ、広島やソフトバンクなどのように、しっかりとしたドラフト戦略と育成力を持ったチームが常勝しているのだと感じます。

資金力を背景に勝利を得てきた巨人においも、ドラフトを中心に選手を獲得することが最重要となってきていますが、FA選手獲得に頼ってきたツケが今の巨人の姿にあるように思えます。

巨人のドラフトは、どこが物足りないのか?

巨人のドラフトは、そこまで悲惨なの?

まずは、通常ドラフトに戻った2008(平成20)年以降の巨人のドラフトを振り返ってみます。

  • 2008年1位:大田泰示選手(高卒)→準レギュラークラス→東海大相模高校史上最強強打者として入団し、巨人では育てきれませんでしたが、移籍した日本ハムではレギュラーとして活躍しています。
  • 2009年1位:長野久義選手(社会人)→不動の外野手→現在は広島
  • 2010年1位:沢村拓一投手(大卒)→リリーフエース:現在は不調ですが、抑え投手として貢献してきました。
  • 2011年1位:松本竜也投手(高卒)→1軍登板なし:大本命の菅野投手の外れ1位でしたが、実力を発揮しないまま不祥事が原因で引退しました。
  • 2012年1位:菅野智之投手(大卒)→大エース:前年日本ハムに邪魔されましたが、1年を経て希望の巨人へ入団。叔父さんが原辰徳監督であったとはいえ、近年では数少ない指名拒否でした。
  • 2013年1位:小林誠司捕手(社会人)→正捕手:打撃の低迷から正捕手の座を奪われかけていますが、WBC日本代表の正捕手も務めました。
  • 2013年3位:田口麗斗投手→ローテーションの一角:ここ最近不調ですが、左の先発としてローテーションの一角を担ってきました。
  • 2014年1位:岡本和真選手(高卒)→不動の4番バッター:昨年大ブレイクして、不動の4番バッターへと急成長しています。昨年に比べると今年の成績はイマイチではありますが、今後の巨人を背負っていく逸材です。
  • 2015年1位:桜井俊貴投手(大卒)→今シーズン半ばからローテーションの一角を担うようになり、このまま成長することが期待されています。:野球賭博の不祥事が発覚したときの指名年度です。その年の巨人は、ドラフトを自粛したのかと思わせるほど、有力選手を避けて指名したのがこの年です。
  • 2016年1位:吉川尚輝選手(大卒)→長年の巨人の二塁手迷走に終止符をうったと思わせる選手で、今シーズン開幕当初もセカンドに定着して好調でしたが、現在は腰痛により長期離脱中です。
  • 2017年1位:鍬原拓也投手(大卒)→時折一軍でも好投を見せてはいますが、一軍に定着するには至っていません。
  • 2017年3位:大城卓三捕手(社会人)→阿部慎之介選手の後釜として、強打の捕手として活躍しています。現在は、その強打を活かすべく捕手と一塁手とで併用されており、ほぼレギュラー格として活躍しています。
  • 2018年1位:高橋優貴投手(大卒)→開幕直後はローテーションの一角を担いました。その後二軍で調整していましたが、再び一軍へと合流した後も、まずまず合格点の好投を見せています。

こうやって近年の巨人のドラフト指名選手を振り返ってみても、菅野選手のような大エースとして活躍している選手や、その他の選手も主力や合格点の選手が多いように思え、ちまたでいわれているほど悪いドラフト指名ではないようにも思えます。

スカウト下手&育成・起用下手

上記の通り、巨人のドラフト指名選手は、ギリギリ合格点をあげてもよいのではと思えます。

ただし上記を見ても明らかなように、入団後に活躍しているのは「ほとんどが1位指名選手」に限られるという点が問題です。

1巡目指名が重複して、外れ1位で入団した選手もいますが、それでもプロのスカウトが「その年の全国で12番以内にいる選手」として見込んだ選手なわけですから、そこそこ以上の活躍ができても不思議ではありません。

ところが、現在の巨人の主力級には、2位以下がほとんどいません。

他球団を見渡しても、2位以下で指名された主力選手は多数いますし、かつての巨人にも2位以下で大活躍した選手も大勢いました。

これは、「スカウティング力が下手」なことと、「育成・起用が下手」なことが原因だと思われます。

第二次原監督時代にセットアッパーとして大車輪の活躍を見せた山口鉄也投手も育成出身でしたが、現在のドラフト下位選手や育成選手で主力級とまでいえる選手は育っていません。

このことは、FA選手や外国人選手に頼っている弊害といえ、スカウティング力や育成に力を入れてきた球団と差をつけれている現状に、結果として如実に表れています。

また、FA選手・外人選手・ドラフト1位選手は、どうしても入団経緯から一軍で使わざるを得ないことから、ドラフト下位選手になかなかチャンスが巡ってこないことにもなり、選手がくさったり、若手有望選手が埋もれてしまうことにもなります。

巨人から他球団へ移籍した若手選手の中から、その後活躍する選手が多いのも特徴的です。

そんなしがらみを乗り越えて、一軍と二軍の選手を入れ替えるには「監督の実績と手腕」が必須となってきます。

実績ある高額年俸のFA選手や外国人選手が調子を落としたときに、二軍に落とすことは並大抵の監督では反感を買い、前任の高橋由伸監督には荷が重かったことと感じていました。

そこで登場したのが、第三次原辰徳監督。

これまで同様、積極的に選手を入れ替え、好成績を維持しています。

育成から支配下登録された山下航汰選手に対するワクワク感は、原監督ならではの手腕だと思っています。

巨人は強いだけでよいのか

巨人のドラフト戦略を考えるとき、巨人ファンが求めているのが”常勝”だけかというと、それだけではないと僕は思っています。

コアとなる生え抜き選手

かつて、現在よりも、もっと大物のFA選手が巨人に在籍していました。

落合博満選手、清原和博選手、小笠原道大選手などなど・・・

それでも、原辰徳選手・松井秀喜選手・高橋由伸選手・阿部慎之助選手といった、しっかりとコアとなる生え抜き選手が屋台骨を支えていました。

阿部慎之助選手が晩年を迎え、坂本勇人選手にも後釜が必要な年齢になってきた今、ようやく岡本和真選手が巨人の顔になりつつあります。

しかし投手陣をみると、菅野智之投手と共に現在の巨人投手陣を支えているのはFA移籍の山口俊投手であり、生え抜き投手から未来のエースが出現しているとはいえない状況です。

※巨人のドラフト戦略①

  • 将来のコア(クリーンナップやエース)となる選手を1位指名せよ!

わかりやすい”スター選手”

巨人ファンは、わかりやすいスター選手を求めています。

知る人だけが分かる有望選手ではなく、プロ野球をさほど知らない人にも分かるような『〇〇のスター』といった選手です。

  • 甲子園のスター→原辰徳選手・桑田真澄選手・松井秀喜選手など
  • 神宮のスター →高橋由伸選手など

※巨人のドラフト戦略②

  • わかりやすいスター選手を1位指名せよ!

打線と守備を考えた指名を!

典型的なのが、現在の小林誠司捕手のチーム内での起用方法です。

WBC日本代表では正捕手を務める、他球団からしたらうらやましいほどの捕手だと思われますが、FAで炭谷銀仁朗捕手を獲得し、大城捕手も含めたローテーション制のような起用に留まっています。

その原因は、小林捕手の打撃力不足にあるといわれていますが、かつて巨人の捕手を長年務めてきた捕手を振り返ってみても、歴代の巨人捕手を代表する森祇晶捕手や山倉和博捕手の打撃力は、からっきしといっていいほどでした。

これはひとえに、阿部慎之助捕手の再来を期待するがあまりの願望であり、近年大卒や社会人の捕手を複数ドラフト指名していることやFAで炭谷捕手を獲得していることからも、その迷走はいまだに続いていると想えます。

挙句の果てに捕手過多となり、大城選手が一塁手併用されたり、将来的に期待されていた宇佐見真吾選手もトレードされました。

このことは二遊間にもあてはまり、強打のセカンド・仁志敏久選手移籍の後、二塁手が固定できずにいます。

2016年のドラフトで吉川尚輝選手を1位指名したことで決着したかのように思えましたが、今シーズン好調だった吉川選手が腰痛離脱したことで、再び迷走状態になっています。

幸い腰痛の持病を抱えながらも奮闘している坂本勇人選手が好調を維持しているからよいものの、坂本選手が年齢的に衰えて三塁手になるときが来ると、二遊間共に迷走状態となってしまいます。

今シーズン途中、打撃好調であった若林晃弘選手がセカンド固定かと思いきや、ちょっと打撃不振になると、その守備力不足からレギュラーを外され、再びふりだしに戻っているのが現状です。

この二遊間も、巨人を代表する二塁手であった土井正三選手は打撃力は期待できませんでしたし、遊撃手を代表する川相昌弘選手も打の選手ではありませんでした。

ただし、土井選手・川相選手共に、守備力は球界を代表する守備力でしたし、つなぎの野球には欠かせない存在でした。

やはりここでも、セカンドなら篠塚和典選手・仁志選手、ショートなら二岡智宏選手・坂本選手といった、打の選手を求めて長年迷走を続けているように思えます。

国内の有望選手が海外へと流失している現状、資金力だけでは穴埋めできない時代となり、かといって何でもかんでもFA選手と外人選手で補強してしまうと「どの選手が巨人なの?」といった状態になりファンが失望してしまいます。

やっぱり、野球はセンターラインです!

”捕手”と”二遊間”は『守備力』と『つなぎの打撃』ができる職人が必要です。

野手8人全てに強打を求めては、野球が大味になって、かえって勝利から遠ざかっていくように思えます。

※巨人のドラフト戦略③

  • 捕手と二遊間のセンターラインには、守備力とつなぎの打撃ができる職人を指名せよ!

まとめ

オールド巨人ファンは、『球界の盟主』たるべく巨人の復活を原辰徳監督に期待しています。

その第1ステップは”優勝”です。

優勝するためには、常勝軍団をつくりあげることが必須ですが、エースを多数そろえて、8人の野手全てが強打者であっても勝てるとは限りません。

それは球団の歴史にも表れているように、V9時代には足や小技を使った選手とつなぐ攻撃があり、何よりも守備が鉄壁でした。

3点しか取れなくても、2点しか取られなければ勝利します。

一方、FA選手や外国人選手を多数獲得しても優勝を逃し続けていた時代は、5点取っても6点取られて敗戦が続きました。

そして、その過程としての第2ステップは、”戦略あるドラフト指名”です。

ふたつあります。

戦略あるとは、将来欠如するであろうポジションと年齢バランスのとれた指名です。

近年、特に二塁手と捕手の指名で迷走状態が続き、そのポジションと年齢層にダブつきが目立っています。

逆にいえば、高齢化して若手の補強が必要な外野陣や先発陣には、これといった大物選手をドラフトで獲得できていない状況です。

そしてもうひとつは、”誰もがわかりやすいスター”のドラフト指名です。

巨人のドラフト指名に不満を持っているファンの多くが抱いている感情がここにあると思います。

「この人だれ?」ではなくて、「この人知ってる!」という選手を指名してもらいたいものです。

このことを地でいっているのが近年の日ハムですが、日ハムの指名を真似すると単にミーハー指名になりかねません。

巨人には、チームスタイルと照らし合わせて指名してもらいたいものです。

知名度の高い選手は、元来のポテンシャルが高く、そのため入団後も活躍する可能性が高いです。

しかも、本記事でも述べたように、巨人のドラフト下位選手は、近年活躍度合いが少ないです。

原監督が復帰した現状ではドラフト下位選手にもチャンスが与えられそうではありますが、広島のように猛練習するチームでもありませんし、ソフトバンクのように練習環境に資金をつぎ込んでいるわけでもありません。

ならばドラフトは、現時点でポテンシャルの高いスター選手を真っ向指名し、そこで補えなかったポジションをFA選手や外人選手でまかなうという戦略の方が、しっくりきますし近道だとも思います。

松井秀喜選手や岡本和真選手を指名したように、わかりやすスターを1位で指名してもらいたいものです。

今年のドラフトでいえば・・・・・

それは別の記事で。

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