大学生

奨学金を利用して大学へ進学するための基礎知識

年々加速する少子化と大学の法人化により、大学の授業料は物価上昇を超えて高騰化しています。

そのため、奨学金を利用して大学へ進学する学生も増えてきました。

そこで今回は『奨学金』の諸事情を探ってみました。

※実際に検討される場合は、必ず個別対象機関の最新公式案内を確認ください。

大学生の奨学金利用率

奨学金を利用している大学生は、昼間部の大学生を例にとれば、1990年代は20%から25%あたり(約4~5人にひとりが利用)を推移していたところ、バブルがはじけた2000年代に入ると30%を超えて加速し一気に30%後半まで増えてきました。その後も日本経済は低迷し続け、2010年代になると50%前後まで利用率は上昇し現在も同様です。

つまり、現在は”2人にひとり”が奨学金を利用している状況です。

これは昼間部の大学生のみを対象とした数字なので、大学院生を含めると更に数ポイント利用者が増加します。

奨学金にもいろいろある

ひとくちに『奨学金』といっても、いろんな種類があり混同しがちですので、まずは大別してみます。

奨学金の種類

奨学金を大きく分けると、「給付型(返済不要)」と「貸与型(一般的な奨学金)」があります。借入対象者は学生本人です。

奨学金ではありませんが、「学資ローン」等の名称での金融機関からの借入もあります。借入対象者は親です。

奨学金等の種類

  • 給付型:返済不要
  • 貸与型:一般的な奨学金→要返済・借入(=返済)対象者は学生本人
  • 金融機関からの借入:借入対象者は親

返済不要な奨学金等

”大学ごとの独自制度”がほとんどですが、返済不要な奨学金等もあります。

ただし、成績・スポーツ等においての最上位層を対象としており、かなりハードルが高いです。

また、家庭の事情による給付や減免制度を設けている大学も多数あります。

返済不要な奨学金等の例

  • 成績優秀者:入試時申請方式と入試結果方式があるので、事前に入試要綱等で確認ください。
  • スポーツ優秀者:入学前に内示(スカウト)されているケース以外はほぼ無理です。
  • 系列高校からの推薦者
  • 家庭の事情:低所得家庭・母子家庭・震災家庭など
  • いずれも、一旦一般学生と同額納めた後に無償分が給付されるケースと、授業料が減免されるケースがあり大学により異なります。
  • また、入学時の条件が4年間継続されるケースと、1年ごとに見直されるケースがありますので注意ください。
  • 新聞奨学生:在学中の給料と相殺しているので、完全無償というより実質の負担がない。

貸与型(一般的な奨学金)

最も利用者の多い『日本学生支援機構』以外にも、各種団体・地方自治体等が実施している奨学金があります。

また、民間企業の無償奨学金や、最近では学生時代にアルバイトしていた企業が学費を負担し、卒業後社員となって一定期間勤めれば学費負担分の返済は不要という企業もあらわれました。

ただし「かけもち申請不可」という奨学金が多くありますので、複数の機関に申請する場合は注意してください。

主な貸与型奨学金

  • 日本学生支援機構:利用者のほとんどはココです
  • あしなが育英会:遺児対象の奨学金→有償無償混在型
  • 県・市町村等の地方自治体の独自制度
  • 民間企業の独自制度:無償が大半ですが、場合によっては返済が必要になってくる制度もあります。

日本学生支援機構(JASSO)

奨学生のほとんどが利用しているのが、『独立行政法人日本学生支援機構(JSSAO)』です。

日本学生支援機構から受ける奨学金の特徴

奨学生のほとんどが利用しているからには理由があります。

日本学生支援機構から受ける奨学金の特徴

  • 公的機関であること:信頼性・永続性
  • 貸与総額が大きいこと:金融機関等の借入限度額よりも大きな金額を受けることが可能:入学時の一時的な増額にも対応
  • 返済期間が長いこと:最長20年(借入総額による)→月々の返済金が少額に抑えられる(当然金利はかさばります)
  • 金融機関に比べて審査がゆるいこと:主たる審査対象が学生本人のため、金融機関借入に比べて審査が通りやすい。
  • 返済開始タイミングが学生本人志向であること:在学中の返済は不要で、返済開始も卒業半年後と、学生本人が就職後収入が安定してから返済が開始されます。
  • 『機関保障制度』を利用できるので、保証人不要でも申込みできること(「保証料」が発生します)

受給までの日程

受給関連の窓口は「在籍中の学校」です。従って、高校時代ならば在籍中の高校、進学以降ならば在籍中の大学となります。

日本学生支援機構から奨学金を受給するまでの日程(在籍校によって多少前後します)

  • 高校3年の秋頃:事前説明及び予備申請→予備申請をすると第一種第二種の仮審査が判明するとともに、大学進学時の本申請においてスムーズに審査されます。

  • 進学後の4月半ば頃:進学先における本申請の受付
  • 5月上旬頃:審査通過の書面受領
  • 5月半ば頃:1回目の入金(入学特別増額金+4月分+5月分)
  • スムーズにいっても初回の入金は”5月半ば”ころです。
  • 従って、受験費用・入学費用や前期授業料(特に私立大学)・それまでの生活費(自宅外生なら住宅の初期費用も)などを、別手段で用意する必要があります。

対象進学先に注意

日本学生支援機構の奨学金は、大学・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)および大学院で学ぶ人を対象としています。

従って、浪人することになった場合の予備校や資格学校・一部専門学校等は自己判断することなく、事前に「対象学校であるか否か」を確認しておくことをオススメします。

第一種(無利息)

低所得家庭の学生のための「無利息」奨学金です。

無利息にこしたことはありませんので、自身の家庭がボーダーラインであると思える場合では、高校3年時の仮審査のときに申請してみることをオススメします。

第二種(有利息)

大多数は、この第二種を利用することになります。

家庭(両親)の総収入が一定額以下ならば、審対象となります。

俗に言う「一般家庭」は、ほぼ該当してきます。

  • 勤め人の方は「源泉徴収票」、自営業の方は「確定申告書」が必要となりますので、あらかじめ準備しておいてください。

入学特別増額

入学までには、受験費用・入学金・前期授業料(特に私立大学)・住まいの初期費用などなど多額の金銭を要します。

そのため、日本学生支援機構では入学時のとまった費用に『入学特別増額』で対応しています(金額には上限があります)。申請する場合は、奨学金申請時に同時に申請します。

ただし、入金されるのは5月半ば頃の初回入金日となりますので留意ください。

留学へ対応

在学中に留学することになった場合、別途留学に対応する奨学金もあります。

ただしこの制度は一年以上の正規留学に対しての制度で、短期留学には対応していません。

それでも、大学独自の短期留学者への支援制度がある場合がありますので、計画時に自分の大学制度を調べてみることをオススメします。

短期留学に対する独自の支援制度を設けている大学もある

  • 大学公認の短期留学コースの場合、支援金制度を用意している大学もある。
  • 帰国後、学内の留学生に対して、大学公認の案内役として選ばれる(大学が帰国した学生に金銭を支払う)ケースがある。

申請以降の留意点

受験校の合否や家庭事情の変化などによって、受験前後や在学中に金銭の必要度が変化することがあります。その場合は、受給金額の変更を申し出ることができます。もちろん、受給打ち切りの申請も可能です。

それとは別に、継続して申請する場合においても、必ず”継続申請”をしなければなりません。毎年12月から年明けあたりに在籍校から案内があり、その締切日までに”ネット”で申請する方式です。「奨学金+仕送り+バイト代<授業料+勉学費+生活費」を申告しますので、学生自身のおおまかな年間収支を掌握しておく必要があります。同時に「両親の年間収入」も新しい内容で申告する必要がありますので、事前に準備しておいてください。

継続利用する場合は、年度ごとにネットで申請する必要がある

  • 学生自身の年間の収支を掌握しておくこと:奨学金他の収入<授業料他の支出
  • 両親の新しい年間収入も申告必要:源泉徴収票・確定申告

金融機関からの借入

奨学金ではありませんが、大学費用を工面する手段として金融機関からの借入があります。

奨学金との大きな違いは、借入(=返済)対象者は”親”であるということです。

借入対象者が「親か学生本人(子供)か」という事情だけではなく、金融機関で借入する家庭事情は様々です。

金融機関で学費を用意する親の事情(心境)

  • 子供に返済負担を負わせたくない
  • 子供本人が奨学金審査に落ちた:学業成績不足・親が高収入
  • 金融機関での借入条件の方が良かったケース

金融機関借入のメリット

  • 全般的に奨学金よりも低金利
  • ほとんどの奨学金が「入学以降」しか利用できないのに対し、金融機関での借入は受験費用等の「入学前」費用にも対応しているケースもある。
  • 奨学金で補えない金額の上積みとして追加借入するケース

代表的な借入金融機関

  • 日本政策金融公庫『国の教育ローン』→まずはココ!:まずは日本政策金融公庫に借入を申込み、ダメなら受け付けますというところもあります。
  • 労働金庫(ろうきん):働く人への融資を対象とした金融機関です。日本学生支援機構の入学特別増額を申請した場合において、実際に入金されるまでの「つなぎ融資先」としても対応しています。
  • 一般の金融機関

最後に

「子供のチャレンジを応援したい!」

「できるだけ子供に負担をかけさせたくない」

親なら誰でもそう思うでしょう。ところが子供が大学に進学しようとしたとき、現在の大学卒業までにはかなりの高額費用を用意しなければなりません。

一方、親の可処分所得が減るばかりの現在の日本経済において、十分な蓄えがない家庭がほとんどではないでしょうか。

そんなご時世を反映して、大学生の約半数が『奨学金』を利用しています。

奨学金は子供自身の借入で、将来返済するのは子供自身です!

親としては心苦しいかもしれませんが、そのことを踏まえて、子供と十分に話し合いを持つようにしてください。

子供たちに、明るい未来が訪れますように!!!

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